危険なサイン

このような症状がある場合には緊急性が高い可能性があります。すぐにご連絡くだい。

 

呼吸していない、反応がない

考えられる疾患…心肺停止

心臓や呼吸が止まっている可能性があります。すぐに心肺蘇生を行う必要性があるため、心臓マッサージをしながら動物病院に電話して下さい。

詳しくは動画をご覧下さい。

 

立てない、ぐったり

考えられる疾患…ショック状態、低血糖

急に立てないorすぐに伏せてしまう場合にはショック状態となっている場合があります。内臓出血(出血性ショック)、アナフィラキシー(血液分布異常性ショック)、感染症(敗血症性ショック)、胃拡張胃捻転症候群、心タンポナーデ(閉塞性ショック)、脱水(循環血液量減少性ショック)など様々な病気によって起こります。

また、若齢動物や糖尿病治療中の動物では、低血糖の可能性も考えられます。生命に関わる状態であり、早急に治療する必要がありますので、すぐにご連絡の上来院してください。

 

こどもが産まれない

考えられる疾患…難産

お産が始まって下表のような状況になった場合には、難産である可能性が高いです。胎子は母体から酸素や栄養分を得ているため胎子の心拍数が低下してきた場合には早期の助産や帝王切開を行わなければ母子ともに危険です。また長時間におよぶお産は母体への影響も考えられるため、すぐにご連絡の上、来院してください。

難産である可能性が高い場合

  • 予定日を過ぎている(犬70日以降、猫68日以降)
  • 体温が低下して24時間経過しているのに分娩が始まらない
  • 胎膜や胎仔の一部が陰部から見えるが産まれてこない
  • 前の子が産まれてから2時間経過している
  • 強い陣痛が30分以上続いている
  • 緑色の液体排出(胎盤剥離)
  • 胎仔に異常があると言われている(大きい、心拍が低下している、亡くなっている)
  • 母体の異常(ぐったりしている、いきみながら鳴き続けているなど)

また、何頭いるかわからない、予定日がいつかわからない、どうしたらいいのかわからないということであれば必ず病院にご相談ください。

 

呼吸が速い、苦しそう

考えられる疾患…肺水腫、肺炎、胸水、気胸、気道閉塞

呼吸が速いまたは苦しそうという症状の場合、呼吸器疾患の可能性があり極めて緊急性の高い場合が考えられます。特に、心臓疾患の治療をされている場合には肺水腫が疑われ、また嘔吐した後に発症する場合には誤嚥性肺炎などが疑われます。そのため普段とは様子が違う呼吸をしている場合や、舌が紫色に変色している場合(チアノーゼ)には生命に関わる状態であり、早急に治療する必要がありますので、すぐにご連絡の上来院してください。

 

ケイレン、失神 

考えられる疾患…
てんかん、頭蓋内疾患(脳腫瘍、脳炎、脳梗塞、脳出血)中毒、内臓器疾患(尿毒症、肝性脳症、低血糖、低カルシウムなど)、不整脈、心臓病

横になって足をバタバタしたり、突っ張らせたり、泳いでいるような動きを急に始めた場合には、けいれん発作を起こしている可能性があります。5分以上続く場合や繰り返し起こる場合には緊急的な状態になります。また急に脱力したり、のけ反るように倒れる失神も同様にキケンな症状です。生命に関わる疾患であり、早急に治療する必要がありますので、すぐにご連絡の上来院してください。

 

尿が出ない(トイレに何度も通う)

考えられる疾患…尿道閉塞(補足的に膀胱炎のことも)

特にオスに多く、トイレで排尿姿勢をとるのに尿が出ないという症状の場合、尿道閉塞の可能性があります。腎臓や膀胱内で形成された結石が尿道に詰まってしまうことが原因で、この状態が長時間続くと急性腎不全になる危険性があります。生命に関わる疾患であり、早急に治療する必要がありますので、すぐにご連絡の上来院してください。

 

お腹が張っている 

考えられる疾患…胃拡張

急にお腹が張り、吐きたそうだけど吐けないという症状が認められた場合には胃拡張の可能性があります。食後の運動や胸の深い大型犬(セントバーナード、グレートデン、ゴールデンレトリーバーなど)のように起こりやすい状況や犬種はいますが、高齢犬(特にミニチュアダックスフント)も起こる場合があります。生命に関わる疾患であり、早急に治療する必要がありますので、すぐにご連絡の上来院してください。

 

頻回嘔吐・下痢

考えられる疾患…腸閉塞、膵炎

頻回の嘔吐・下痢といった症状は軽症であれば胃腸炎のこともありますが、重症の場合には腸閉塞や膵炎などの可能性があります。さらに重症化すると腹膜炎を起こし命に関わる場合もありますので、まずは当院へご相談ください。

 

後肢を引きずる、強い痛みで泣き叫ぶ

考えられる疾患…血栓症

血栓塞栓症は、犬と猫では原因が異なります。犬では内分泌疾患など様々な原因が考えられますが、猫の多くは心筋症が原因で発症します。後肢に向かう血管に閉塞することが多く、血栓による血流障害は激しい痛みや麻痺、そして冷感を伴います。特に後肢を引きずり痛みで苦しんでいるようであれば、生命に関わる状態であり、早急に治療する必要がありますので、すぐにご連絡の上来院してください。

また犬の場合、後肢を引きずる原因の一つに椎間板ヘルニアもあります。症状による鑑別が難しいため、まずはご連絡ください。

 

体が熱い 

考えられる疾患…熱中症、発熱

人と違い汗をかいて熱を下げることができないため、体に熱がこもった場合に呼吸することで体温を下げようとします。体が熱っぽく、ハァハァと荒い呼吸をしている場合には高体温となっている可能性があります。40度を超える高体温となってきた場合には様々な臓器障害が起こるため迅速な対応が必要になります。生命に関わる状態であり、早急に治療する必要がありますので、すぐにご連絡の上来院してください。

パルボウイルス

・ワクチン接種を受けたことがない
・ワクチン接種(1回目or2回目)を受けてから1〜2週間以内
嘔吐、下痢、元気消失、食欲不振などの症状が認められる

・2週間以内にパルボウイルス感染(疑い)と接触した
潜伏感染期間であるため症状の有無に関係なし

上記に当てはまる場合は来院前に必ず電話するようにしてください。院内感染予防のために必要な検査や隔離などの特別な対応を事前に準備する必要があります。

犬パルボウイルス(CPV)にはCPV-1、CPV-2があり、犬も猫もCPV-2感染により重篤な症状を示します。症状として嘔吐、下痢などの消化器症状が一般的に認められ、発熱などの症状も認められます。糞便や嘔吐物にウイルスが含まれ、非常に強い感染力を持つと同時に環境中で1年以上生存する強いウイルスであるため多頭飼育施設での集団感染が多く認められます。有効とされる抗ウイルス薬などの治療法はなく、生後6ヶ月未満の子犬、子猫では救命率が非常に低い感染症です。また環境中(ケージ、お皿など)の消毒にはアルコールなどの消毒液は効果がないため、次亜塩素酸ナトリウムなどの塩素系消毒液での消毒が必要になります。